社会
2016年度修学院フォーラム「社会」第4回(エネルギーを考える第5回)
フクシマに聴く-私達はいずこへ
 フクシマ原発事故から6年が経とうとしています。原発事故がもたらす災禍がいかに深刻で、解決の見通しが立たないものであるかが、明らかになりつつあります。
 事故直後から会津に拠点を据え、原発災害の実情をつぶさに見てこられた片岡輝美さんに、原発と共に生きるとは、どういうことかを語って頂きます。一方、14基も原発が立ち並ぶ若狭湾に隣接し、近畿の命の水源である琵琶湖を擁する滋賀県の知事として、また環境学者として、卒原発を一貫して訴えてこられた嘉田由紀子さんに、なぜ卒原発が必要なのかを語って頂きます。これらの発題を受けて、私たちは、次の世代のためにどんな未来を構築すべきかを考え合い、世に問いたいと思います。フクシマを葬ることは、私たち自身の未来を葬ることになることを恐れねばなりません。
講師:片岡 輝美 
(会津放射能情報センター代表)
講師:嘉田 由紀子 
(びわこ成蹊スポーツ大学学長、前滋賀県知事)
原発核事故の時代をキリスト者として生きる」  片岡 輝美
 一度に四つの原子炉が破壊されたのは、人類史上初めてのこと。ですから、廃炉作業も全て初の試みです。闘いの相手は日々原発構内に流れ込む800〜1000㌧の地下水であり、人類が操れるはずのなかった人工放射性核物質です。東京電力は40年の廃炉行程を出していますが、困難を極める作業により100年はかかると言われています。
 その一方で県内では復興が叫ばれています。住民が避難区域解除は早急だと主張しても、避難者が生活の基盤である住宅支援打ち切り撤回を求めても、強行に「帰還」が推し進められています。2020年東京オリンピック・パラリンピックは全世界に「原発核事故収束」をアピールする絶好の機会だからです。
 原発核事故により、日本国憲法に保障されている「基本的人権」が打ち砕かれ、環 境は汚染されました。私たちはキリスト者としてどのような責任と行動を取るべきか、共に悩み考えましょう。

「なぜ卒原発を滋賀県から提唱したのか―"被害地元"知事の責任と苦悩」
                                                                    嘉田 由紀子

 2016年6月に行われた滋賀県民世論調査では、「原発の安全対策や防災対策が不安」と思う人が76%となっている。「十分安心」と応えた人は11%でしかない。また2016年の3月には大津地方裁判所が高浜原発3・4号機の運転差し止めを命じる判決をだした。稼働中でははじめてだ。それでも国は、高浜3・4号機だけでなく老朽化した高浜1・2号機の再稼働さえ許可を出した。滋賀県民の不安感と、国や関西電力、14基もの原発をかかえる立地地元の若狭湾地区の意識のズレはなぜなのか?その歴史的、社会的、経済的な構造を把握しながら、立地地元だけが地元ではない、被害を受けるリスクのある地域も「被害地元」として原発政策の意思決定に関与できるようにするべしと、滋賀県知事として一貫して訴え続けてきた、その経緯と今後の方向について詳説し、皆さんとの意見交換の資料としたい。

 

2017年1月 8日 (日) 〜 9日(月祝) 1日目16:00~2日目16:00
場 所:関西セミナーハウス
(京都市左京区一乗寺竹ノ内町23)
参加費:14,000円 学生5,000円(宿泊3食込)
締切日:2017年1月4日
*多数の方が参加して下さることを期待しております。参加して下さる方は、1月4日までに下の参加申込書をFaxでお送りください。 電子メール、電話、ウェブサイトフォームでも受け付けます。 *できるだけ全日程ご参加ください。やむを得ない場合は、部分参加でも結構です。部分参加の会費は事務局にお尋ね下さい。 *宿泊は、2~3名の相部屋が原則ですが、2,100円の追加料金でシングル利用もご準備できます。 *お申込みには、電子メールか電話で受け付けのお知らせを致します。申込み後2~3日経っても返信が無い場合は、お電話などでお問い合わせ下さい。 *前日正午以後のキャンセル、変更には、キャンセル料金が発生します。
<講師プロフィール>
片岡 輝美(かたおか てるみ) 氏
会津放射能情報センター代表
1961年福島県生まれ。日本キリスト教団若松栄町教会員 85年夫・片岡謁也の着任のため故郷会津若松へ。子どもは息子四人と長男の妻。 2005年九条の会・西栄町学習会を結成。「自分のことばで平和を語る」をモットーに月例学習会やピースウォークや講演会などを企画。2011年3月15日から2週間義弟宅(三重県鈴鹿市)に四男、妹親子と避難。会津若松に戻り、放射能から子どものいのちを守る会・会津(5月)と会津放射能情報センター(7月)を設立し代表となる。 著書: 『わたしたちのこえをのこします』(ロシナンテ社編)、証言『終わらないフクシマ 女性たちの声』(いのちのことば社)、『これでも罪を問えないのですか!福島原発告訴団50人の陳述書』 (株式会社金曜日) 、寄稿『絶望と希望の狭間で―原発核事故の時代をキリスト者として生きる』 (現代宗教2016国際宗教研究所)など。
<講師プロフィール>
嘉田 由紀子(かだ ゆきこ) 氏
びわこ成蹊スポーツ大学学長、前滋賀県知事
1950年埼玉県北部の養蚕農家生まれ。京都大学農学部時代のアフリカ・フィールドワークから水と環境の大切さを痛感。アメリカ・ウイスコンシン大学大学院修了、京都大学大学院博士後期課程修了。農学博士。1980年代より水と人の関係性の研究を琵琶湖、アフリカ、アメリカなどで進める。滋賀県立琵琶湖博物館総括学芸員、京都精華大学人文学部教授を経て2006年滋賀県知事。2014年の引退まで公共事業見直しによる財政再建、子育て・女性参画による人口政策、琵琶湖環境政策や原発政策などで新機軸を開く。 『いのちにこだわる政治をしよう!』(2013年、風媒社)など著書多数。
  
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